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だち三人と北海道への長旅もした。
さて専攻科へと思っていた矢先に、「普通の高校に行きたいそうです」と、受持ちの先生からのお電話で、私も度肝を抜かれた。主人と一緒に学校を訪ねて、いろいろと相談し、一応、千葉県立校を受験したが不合格だった。
一年間の浪人生活が始まった。ガリ勉タイプではないので、勉強をしながらも旅行やサイクリング、オリエンテーリングを楽しみ、ボランティア活動などもやっていた。
しかし翌年、都立と私立の高校に合格、先生方と相談し都立を選んだ。入学式の面接のとき先生とこんな会話があった。「耳の聞こえないことを皆に話してかまいませんか」、「特別な扱いをしないでください。耳の聞こえないこともどうぞ」、「大変でしたね。それではお預かりします」。
入学してから、先生とクラスのお友だちの温かい協力には本当に頭が下がった。
剣道、柔道の友だちもでき、黒帯を取ることができた。学校外でも遊びや勉強に誘ってくれ、成人式でも祝って記念品を頂き、皆さまに迷惑をかけっぱなしで卒業できた。
さらに、コンピューターの学枝に進学して二年間勉強し、努力賞を授かって卒業することができた。この二十年間の学校生活で一度も、「休みたい、嫌だ」と言ったことはなかった。そして、息子に、親の方が支えられ励まされた。いまでは胸囲が一メートルほどもある体格になった。
就職は先生方のお世話で、「グラフィカー」というコンビューターの会社に決めた。通勤に

 

 

 

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